成年後見人になれるのはどんな人?権限の範囲も併せて解説
成年後見制度とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く成人を保護する制度のことをいいます。
成年後見人制度には大きく分けて法定後見と任意後見の2つの種類があります。
成年後見人になれるのはどのような人なのでしょうか。
以下では、成年後見人になれる人と権限の範囲についてご説明いたします。
法定後見人になれる人と権限の範囲
法定後見は精神上の障害による事理弁識能力がどの程度かにより、成年後見、保佐、補助の3種類に分けることができます。
〇成年後見
精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く常況にある成人が利用することになる制度が成年後見です。
後見開始の審判を受けた者を成年被後見人といい、成年後見人が付されます。
成年被後見人は事理弁識能力がほとんど失われている成人であるため、成年後見人の権限の範囲が広く認められています。
具体的には、成年被後見人が行えるのは、日用品の購入その他日常生活に関する行為のみであり、それ以外の成年被後見人の行為は成年後見人が取り消すことができます。
つまり、成年後見人は成年被後見人の法定の代理人として、あらゆる法律行為等をする権限が認められています。
〇保佐
精神上の障害により、事理を弁識する能力が著しく不十分である者が利用することになる制度が保佐です。
保佐開始の審判を受けた者を被保佐人といい、保佐人が付されます。
被保佐人の障害レベルとしては、成年被後見人よりは軽度で、次に述べる被補助人よりは重度であるといえます。
保佐人は以下の被保佐人の行為について同意し、同意なく以下の行為が行われた場合には当該行為を取り消す権限又は追認する権限が与えられています。
・元本を領収し、又は利用する行為
・借財又は保証をする行為
・不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
・訴訟行為
・贈与、和解又は仲裁合意をすること
・相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
・贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
・新築、改築、増築又は大修繕をすること
・民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること
・以上の行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること
保佐人は家庭裁判所の審判があれば、被保佐人が上記以外の行為をする場合であっても、保佐人は当該行為の同意、同意がなければ取り消す又は追認する権限が与えられます。
なお、被保佐人は日常生活に関する法律行為は自由に行うことができます。
〇補助
精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分である者が利用することになる制度が補助です。
補助開始の審判を受けた者を被補助人といい、補助人が付されます。
被補助人は事理弁識能力に不安のある者が利用する制度であるため、補助人の権限は保佐人の同意権の対象となる行為の一部について、家庭裁判所の審判によって同意権、取消権、追認権が与えられ、また特定の法律行為について代理する権限が与えられるにすぎません。
任意後見人になれる人とその権限の範囲
法定後見とは異なり、本人の事理弁識能力が残っているうちに当事者が締結する契約に基づいて任意後見人が被後見人を代理する制度を任意後見制度といいます。
当事者の合意によって契約の内容が決まるため、当該契約の内容によって任意後見人の権限の範囲は異なることになります。
それぞれの契約によって任意後見人の権限の範囲を決められるため、当事者の意思を尊重することができるというメリットがあります。
成年後見についてお悩みの方は加藤司法書士法務事務所にご相談ください
上記の通り、成年後見制度にはさまざまな種類があり、どれを利用するのが適切かお悩みになることがあるかもしれません。
成年後見制度についてお悩みの方は、加藤司法書士法務事務所にご相談ください。